そのダッフィー、形見か、特急呪物か
人生最大級のぬいぐるみ鑑定
私が中学生の頃、祖母がダッフィーのぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
ふわふわで、丸くて、やさしい顔をしたくまのぬいぐるみ。
とても喜んだことを覚えている。
その約4、5年後、当時の彼氏が修学旅行でダッフィーをお土産に買ってきてくれた。
「お土産だよ」と渡されたその子は、祖母からもらったダッフィーと全く同じ背丈、同じ容姿をしていた。
双子かな?いや、双子だな。
ただ、そのダッフィーを買ってくれた彼は、のちにフルフェイスヘルメットをかぶり、全裸で踊る変態へと進化した。
進化の方向が、だいぶ残念であった。
それを含め、色々と思うこともあって私たちは別れた。
別れてもダッフィーは処分しなかった。
物に罪はないからだ。
しかしこの選択が、のちに私の運命を若干狂わせることになる。
数年後、大人になった私は、実家を出て一人暮らしを始めることになった。
着々と引っ越し準備を進めていく。
しかし一人暮らしの部屋というのは、最初はどうしても物が少ない。
なので私はいくつかぬいぐるみを持っていく事にしたのだ。
でも、さすがに新たな門出に、元彼からもらった呪物ダッフィーを連れていくわけにはいかない。
いや、ダッフィーに罪はない。
それは分かっている。
分かっているけれど、新居のベッドの横に置いて、ふと目が合ったときにフルフェイス全裸ダンスの記憶がよみがえるのは、なかなかきついものがある。
そのため、呪物ダッフィーは実家に残すことにした。
代わりに、祖母にもらったダッフィーを連れていく。
実は祖母は、私が一人暮らしを始める少し前に亡くなっていた。
だからそのダッフィーは、ただのぬいぐるみではなく、私にとって形見のような存在だった。
祖母が選んでくれたもの。
祖母が私にくれたもの。
あの頃の私が、うれしくてぎゅっと抱きしめたもの。
よし。
この子だけは連れていこう。
私は実家の部屋で、ダッフィーに手を伸ばした。
さぁ、おいでダッフィー。私と共に新しい生活を始め…
…
ちょっと待て。
祖母にもらったの、どっちだ?
一気に空気が凍りつく。
同じ背丈。
同じ色。
同じ顔。
こちらを見つめる、ふたつのやさしい瞳。
やばい。
やばいやばい。
どっちだ?
どちらが形見!?
どちらが呪物!?
くそっ!この子達は別々に置いておいたはずだ。
誰が2つを仲良しこよしで並べやがった!
そのとき、引っ越し準備を見ていた年の離れた小さな弟が、自慢げに言った。
「離れ離れは可哀想だったから」
お前か〜〜〜!!
いやでも、そりゃそうだ。
同じくまさんが2つあったら並べる。
離れていたら可哀想だと思う。
なんて優しいボーイに育ちやがったんだ…
しかし姉は今、君のやさしさによって人生最大級のぬいぐるみ鑑定を迫られている。
私は再び頭を抱えた。
年季が入っている方を選べばいいのでは、と思うかもしれない。
しかしその差はたったの4.5年。
劣化による違いなど分かるはずがない。
唯一違うのはタグの柄。
しかしどっちがどっちかなんて、ディズニーに詳しくない私が知る由もないのだ。
……よし。
意を決した私は、一匹のダッフィーを段ボールに詰め込んだ。
選ばれしダッフィー。
もしくは、選んではいけなかったダッフィー。
真実は、誰にも分からない。
そして現在。
私は夫と結婚し、我が子と3人で暮らしている。
この家にも、あのダッフィーは飾られている。
リビングの一角で、今日もにこにこと座っている。
かわいい。とてもかわいい。
でも、ふと目が合うたびに思う。
祖母の形見なのか。
フルフェイス元彼の念がこもった呪物なのか。
お前は…どっちなんだ?
【追記】
この記事の予告をした昨日の事。
とある方からコメントをいただき、「タグの番号でいつ買われたか分かる」という情報を知りました。
そんなこと知らなんだパンナコッタ。
私はガッタガタ震えながら、製造番号の見方を調べさせていただきました。
そして、数年越しに真実を知ることが出来ました。
え、結果ですか?
とりあえず近日中に実家に帰ります。
(いっぱいいれば怖くない!!)
まんぷくクリエイターさんより✨





初めまして✨
大切な肩身のダッフィーちゃんには可愛い洋服を着せてあげるのはいかがでしょう?😊これできっともう間違えることもないはず!
2分の1を当てられず…!!ダッフィはすごーくかわいいけどね笑