LINEのアプデでメンヘラの私が詰んだ話
LINEよ、メンヘラを裏切らないでくれ。
過去の私は、それはそれは重いメンヘラだった。
病む。
泣く。
暴れる。
特にLINEのやり取りなんてすごいものである。
「なんで返信しないの?」
「今家にいるんでしょ?」
「遅い」
「無視しないで」
こんな感じのLINEを相手に送りまくっていた。
なぜ返信がないんだ。
相手は一体何をしているんだ。
私より大切なものが、この世に存在しているというのか。
そんな思いがぐちゃぐちゃになって、1時間で多分100件は余裕で送ってたと思う。
もはや会話ではなく、一方的な災害通知だった。
しかし、何時間も経てばこちらも多少冷静になる。
その状態で荒れ果てたトーク画面を見返し、
「うわ、キモ……」
と、自分で自分にドン引き。
そして、ある技を発動。
『秘技・送信取り消し』
である。
送ったメッセージを、一件ずつポチポチと消し、証拠隠滅。
感情をぶつけるだけぶつけて、あとから「何もありませんでした」という顔をするのだ。
そう、メンヘラにとって送信取消とは、最後に残された救いだった。
今現在の私は、ほとんど落ち着いている。
メンヘラ秘技の『メッセージ無限連投』も『送信取り消し』も発動しなくなった。
私もいい加減、大人のレディになったのだ。
そう思っていた。
しかしついこの間、夫と口喧嘩をしてしまい、久しぶりにやってしまった。
何十件か並ぶ恐怖のメッセージ欄。
言いたかったこと。
言わなくてもよかったこと。
今、そのタイミングで送る必要はなかったこと。
全部入りのアンハッピーセットである。
ふろくは『不在着信10件』。
やばい。
これはやばい。
早く送信を取り消さないと。
あの頃のように、メッセージを長押しする。
この慣れた手つきだけは、体が覚えている。
かつて何度も私を救ってくれた、思い出のロングタップである。
ところがその途端。
画面に見慣れない文章が表示された。
『このメッセージの送信を取り消すには期限を延長してください』
…
え?
延長って???
画面よ、どいてくれ。
私は一刻も早く、数時間前の自分を消さないといけないのだ。
慌てて案内を見る。
そこには月額650円と書かれていた。
課金。
まさかの課金。
感情に任せて送ったメッセージをなかったことにするために、毎月お金がかかるシステムになっていた。
気づかなかった。
いつの間にこんな酷なことを。
思わず発狂しそうになった。
あんまりだよLINE。
昔は黙って消させてくれたじゃない。
私たち、あんなに一緒に黒歴史を葬ってきたじゃない。
絶対、メンヘラに課金させるために規制をかけただろ。
裏切り者。
絶対許さねーからな。
とはいえ、昔の私なら迷わず加入していた。
月額650円で黒歴史を消せるなら安い。
いや、冷静に考えれば安くない。
1年で7,800円である。
それだけあれば、ちょっといいものが食べられる。
でも、何十件ものメッセージを読まれる精神的ダメージを考えたら、払ってしまう気がする。
絶対、あの頃の私みたいなメンヘラは、LINEプレミアムに課金しているに違いない。
私は便利な機能がほしいんじゃない。
着せかえやスタンプを楽しみたいわけでもない。
さっきの自分をこの世から消したい。
ただ、それだけなのに。
技術は進化した。
LINEも進化した。
そして私は、送った言葉には責任を持たなければならないという、当たり前のことをLINEに突きつけられた。
「送る前に、相手の気持ちを一度考えましょう」
たぶん、そういうことである。
小学校で習いそうなことを、私は月額650円の画面から教わった。
とりあえず夫には、何十件ものメッセージをちゃんと読まれた。
あれから数日後。
私は送信取消に課金する前に、もっと余裕のある大人のレディになろうと努力している。
夫婦関係を守るために。
そして何より、
月額650円を節約するために。




自分の心の保ち方。いいんじゃない、黒歴史だって自分の歴史だ。それがしらすを形作っているんだから。しっかりその歴史も抱きしめてやれ!そのほうがね愛されると思うよ。
削除するより、ごめんねの一言でいいと思うよ。それはね、相手に誤ってるんじゃなくて、自分に誤ってるの。ぶつけた感情で一番傷ついているのは、相手ではなく自分自身だからね。自分に謝るように、ごめんね。で。
しらすさんのメンヘラには癒されます🥰
夫婦生活は山あり谷あり。我が家も付き合ってから四半世紀以上経って、ようやく落ち着いてきました……
色々あったし、色々したし、隠し事もいっぱい。でも、「一緒にいる」って決めたのは過去の自分だし、「一緒にいよう」と思っているのはいまの自分。
感情があるからぶつかるけど、感情があるから人間らしい。矛盾だらけなのが人生なのかもしれません。朝から素敵な学びをありがとうございます♪♪